KさんのmkUエンジンオーバーホール その4

 前回の続きです。
 加工、ペイント、組み立てです。
 クランクケースのシリンダースタットボルトを外します。
 既に何度か開けていると思われるエンジンの中には、シリンダーが載る面のスタットボルト周辺”以外”の
部分が下がってしまっている(へこんでいる)クランクケースが結構有ります。
 その場合は加工屋さんに持っていって面研してもらいます。

 外した後は、ガスケットをリムーバーとスクレッパーで剥がしてオイルストーンできれいにします。
その後ストレートエッジで凹みが無いかチェックします。
 へこんでいるとオイルストーンを掛けている時でも解りますが、どれ位下がっているか測ります。
 今回は平気でした!

 内燃機屋さんに出していたヘッドが帰ってきました。
 面研(面修正)とバルブシートカットをお願いしていました。
 ガイドを変えていない時は店で出来るのですが、今回ガイド穴修正と打ち代えをしているのでガイド軸がズレて
おり、角度が変わってしまっているので、うちではやりきれないのでお願いしました。
(とは言え自前でやっている店はそんなに無いと思いますが)今回はバルブ長も少しカットになりました。

 その後、きっちりマスキングをしてサンドブラスト、塗装をしました。(これも外注になります。)
 帰ってきたらまたしても洗浄です。
 この時エッジ取りとオイルストーンを軽く掛けます。
 エッジのバリ取りは全面行なう訳ではなく、凄い所、怪我をしそうな所を行ないます。

 それから、全てのネジ部にタップを掛けて穴の清掃をします。(これをしないと後で泣きを見る事があります。)
 このエッジのバリ取りとタップの作業だけで2〜3時間掛かります!その後また洗浄!

 そして、軽くダイヤモンドのシートカッターを掛けます。
 この時当たり幅の調整をします。
 内燃機屋さんに出した時は擦り合わせ無しで戻してもらっています。
 最近は当たり面をちょっと広めでカットしています。後ろに映っているのがダイヤモンドカッターです。
 他刃物のカッター等も色々な角度と径があるので、APEからHDまでカット出来ますが、全てハンドパワーです!
25年の経験でバッチリ!!?
 ガッチリしたフライス盤のようなシートカットマシンが欲しくて色々調べたことも有ったのですが、置くスペースが
取れなくてあきらめています。
 もしあればシートリング入れ替えとかもやれたんですがね〜
 その後擦り合わせ、またまた洗浄です。
 今回は全くのノーマルエンジンなので、外当たりにはしていません。

 新しいスタットボルトです。
 これを綺麗なケースに組むだけで気分いいですね〜

 当店でエンジンを組むときに必ず使う唯一の強化部品のカムチェーン!以前はメッキのかかった物を使用して
いたんですが、最近はDID製のダイハード加工された物を使っています。
 他ではあまり使っている所が無いと思いますよ!右の画像は洗ったクランクケースボルトです。
 これからダイスに通します。個人的な見解ですがMK2等のケースボルトは今カワサキに注文して買う新品の
ボルト類より、廻している時の剛性が有るような気がします。ですからあまりに凄い錆びが出ている場合を除い
て、ここ最近は元のボルトにきちんと手入れをして使っています。

 手入れをしたボルトを使ってクランクケースを組み立てました。
 ミッション、クラッチも色々手を入れて組み込みます。
 次はシリンダーヘッドを組み立てます。私は搭載前にシム調整をしてしまいます。
 この後クランクケースをフレームに載せてからシリンダー、ヘッドを載せていきます。
 これは1人で載せるので全部組んでしまうと腰痛もちの私には積めないからです。
 この職業の職業病ですね!
 フレームに傷をつけない為にもこのやり方は悪くないと思います。

タコメーターギヤケースの穴が広がっていました。
ギヤも含め交換です。(もちろんシールも)

 すみません、またついガンガン組んで画像撮り忘れました(笑) 突然完成です!(笑)
まあこの途中に秘密も何にも無く丁寧に組むだけですから勘弁してくださいね!

 結果、大変静かな(持ち込まれた時のガラガラ音は全くなくなっています!)調子の良さそうなエンジンに
なりました。
 これからナラシ運転とキャブセッティングですね。
 持ち込まれたときよりジェッティングを大分絞ったんですがもう少し絞れそうです。
 その時の燃費も楽しみですね。(かなり悪かったようです!)